第20章 幸福
――夏油side――
「「は?」」
七海と声が重なった。
それもそうだろう。
「今からコンビニでも行かない?」というノリで「イギリスに行く?」なんて言うもんだから、一瞬思考回路が止まった。
「どうせ、任務か何かでしょう」
「さっすが七海~。わかってるね~」
任務でもイギリスに行けるのはいいなぁ。
あの街並みを肌で感じたい。
そう思っていたら、七海が深いため息を吐いてブリッジをあげた。
「ただの任務でしたらあなた一人で充分でしょう。なぜ、"私"に声を掛けたのですか」
ピリッとした空気が肌を突き刺した。
確かに七海の言う通りだ。
五条悟は口元に弧を描きながら。
「"幸福"が逃げ出したんだよね。僕一人じゃ骨が折れそうだと思ったから七海とに手伝って欲しいんだよね」
「なっ……!!」
幸福……?
なんだそれ。
私だけが話についていけていない。
「五条さん……いくら人手が足りないとはいえ、夏油さんを連れていくのはあまりにも危険すぎます」
「には僕から離れないように言うよ」
「そう言う問題じゃ……」
「もしまたアレが逃げ出した時、対処の仕方を知っている奴が生徒の中で一人でもいてくれたら今後楽だと思わない?」
「それは……だったら乙骨君または東堂君を私は推薦します」
「憂太は他の任務で海外行ってるし、葵が人の言う事聞くような奴なら今すぐにでも連絡してるよ」
大人の会話に挟まれた時、子供はどうすればいいのか分からない。
大人しく話だけを聞いているけど、全然何も分からない。
まず、"幸福"ってなんだよ。