第19章 旅行
寮へ戻る時、五条悟が耳元で「また、明日ね」と言って高専へと歩き出す。
耳に残る男の声にぞくぞくした感覚を覚えながら、その背中を見送る。
くそ、そう言う事すんな。
変に期待するじゃねえか。
ふぅ、と息を吐いて。
男子寮へと戻っていく虎杖の名前を呼んだ。
「後で、部屋に行く」
「え……?」
「話がある」
「……わかった」
ちゃんと、返事をしなければ。
虎杖もわかったのだろう。
一度だけ頷いて、軽く手を振って部屋へと歩き出した。
部屋へと戻り私はベッドにダイブした。
1泊2日の温泉旅行は、いい思い出として私の胸に刻まれた。
誕生日プレゼントもたくさんもらったし。
袋に入れっぱなしなんてそんな風に扱っちゃいけない。
ちゃんと取り出して使わなきゃ。
伏黒からもらったコースターはキッチンに置いて。
パンダからもらった肌マスクは洗面所。
狗巻棘からもらった練り香水は小物入れに。
そして野薔薇と禪院真希からもらったヒップバックはハンガーラックに。
ついでにいつも使っているバックから新しいバックへと鍵を移して。
「ふふっ」
思わず笑みがこぼれるほど、私の心はとても高揚していた。
するとスマホが音を立てて鳴った。
ラインのメッセージには虎杖の名前が。
「いつ頃来る?」と書かれていたので「今行っても平気か?」と返した。
そしたらトラが腕で丸を描いたスタンプが送られてきた。
「ふぅ」
軽く息を吐いて。
私は男子寮の虎杖の部屋へと向かった。