第19章 旅行
「好きだよ。嘘つかないの。自分の本心に嘘言ってどうするのよ。自分を苦しめてどうするのよ。本当に馬鹿ね、あんたは」
「好き、じゃないもん……。あいつの悪いところしか思い浮かばないんだもん」
「本当にそれだけ?声が聞きたいって思わない?手に触れたいって思わない?本当に何も思わない?」
「………わかん、ない……。わかんない!!わかんないよ、そんなの。……私が知りたい、くらいだよ……。迷子になって、あいつと、ふ、二人で回って……手だって、繋いで……。でも、全然楽しくなかったもん!!苦しくて悲しくて辛かっただけだもん……。そんなの、違うじゃん!!」
ボロボロこぼれる涙は、テーブルに落ちて水滴となる。
私がこんなにボロ泣きしていると言うのに、4人は私をぎゅっと抱きしめた。
慰めているつもりなのかもしれないが、鼻水が詰まって息がしづらい状況で、覆いかぶさるように抱きしめられると呼吸困難に陥ってしまう。
「苦しいっ!!私を殺す気かよっ!!」
「あー、悪い。あまりにもお前が可愛いから」
「しゃけっ」
「素直な方がかわいいぞ、」
私が暴れると4人は散り散りになった。
その顔はニヤニヤと笑っていて、こっぱずかしさがこみあげてきた。
恋バナって、こんなに恥ずかしい行事だったのか。
もう今後一切恋バナはしない。
「恋、してんだなぁ」
としみじみパンダが言うもんだから、その背中にドロップキックをお見舞いしてやった。
冷静に言ってんじゃねえ。
綿抜くぞ。