• テキストサイズ

【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第19章 旅行







「本命がいるのね……」
「まぁ、誰かは聞かなくてもわかるけどよ」
「しゃけ……」
「男見る目ないな、は」

何かを知っているかのようなその口ぶりに、私は慌てた。
本命もなにも。
私は好きな人なんていない。
いるはずがない。

「嘘つくなよ」

禪院真希の鋭い瞳が私を貫いた。
ごくりと喉が鳴った。
まるで蛇に睨まれた蛙のように動けなくなる。

「お前あの馬鹿が好きなんだろ。見てればわかる」
「な、んで……」
「目だよ」
「目……?」
「あいつを見てるときのお前の目、"好きだ"って言ってる」
「嘘だ!!そんな目してない!!」

声が、つい、大きくなってしまった。
目で、そんなことがわかってたまるか。
他人が見ただけで、私の心情など理解されてたまるか。
好き勝手なことを言いやがって。

「好きなわけねえだろ!!だってあいつはお兄ちゃんを殺して!!私はあいつを殺そうとしてるんだぞ!!殺す人間を、恨んでる人間を、なんで好きになれんだよ‼おかしいだろ、普通に考えて。頭イカレてんのかよ」
「呪術師はみんなイカレてんぞ。だから"普通"は通じない」

パンダが、そう、言った。
唇を噛んだ。
そうだ。
わかってる。
呪術師にイカレてない奴はいない。
喋るパンダがいるように、おにぎりの具でしか話せない奴がいる様に。
世間一般の"普通"は、私達の世界にはない。





/ 884ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp