第19章 旅行
だけど、ここでうだうだしていても仕方ないと禪院真希が言うもんだから、私たちは諦めて恋バナの続きをする事に。
買ってきた飲み物を置いてあった湯呑に注ぎ、これまた買ってきたお菓子を広げた。
「で、なんでは虎杖に返事しないのよ。この質問も何回目よ」
大きく息を吐きながら、湯呑を傾ける野薔薇。
中身がジュースでなければ、酒を一気飲みしているようにしか見えない。
「、悠仁に告白されたのか?」
「そうよ。一ヶ月も前にね。でも返事してないらしいの」
「生殺しだな」
「しゃけ」
「……生殺しって……」
「生殺しだろ。好きな女が一向に返事を返さない。なのに、思わせぶりな態度を取って。悠仁がかわいそうだぜ」
「思わせぶりって、私は別に……」
「いくら。ツナマヨ、こんぶ」
確かに、さっき飯の時隣に座ったけど。
でもあれは虎杖が私を呼ぶからであって、それこそ呼んでるのに違う席座ったらそれこそおかしいだろ。
それがなんで思わせぶりな態度になるんだよ……。
「は悠仁のこと、どう思ってるんだ?」
お茶を飲みながら頬杖をついている禪院真希が尋ねた。
どう……って。
「友達、としか、思ってない……」
「じゃあ、それ言えばいいだろ。なんで言わない?」
確かにそうだ。
言えばいいんだ。
やっぱり友達としか見れないって。
でも、なかなか言えない。
言いづらい。
のは……。
「キープ?」
野薔薇の声が部屋に響いた。
ピクリと動いた私の肩を、その場にいる全員見逃しはずもなく。
4人の盛大なため息が、耳に届いた。