第19章 旅行
「恋バナ?」
「そう。女子特有のな。こういう特別な場所で特別な感情を曝け出すんだよ」
「特別って、私は別に……」
「特別な感情抱いていないってか?嘘つくなよ」
くっくっくっと笑う禪院真希。
なんだろう、このモヤモヤした感じ。
自分の全てを見透かされているような。
「……私は別に、虎杖の事、そう言う目で見たことない」
「虎杖の気持ちには気づいてたの?」
「気付いてた、っていうか……告白……は、された」
「えぇ⁉いつの間に!!」
気づいたら雰囲気に呑まれ、私は恋バナとやらの恰好の餌食になっていた。
野薔薇は野薔薇で私の言葉に驚いたのか勢いよく立ち上がった。
そのせいで、お湯が顔面直撃。
鼻にお湯が入ってむせ返る私の背中を野薔薇が慌ててさすってくれた。
むせ返りが落ち着いた頃、野薔薇は詳しく聞かせろと言わんばかりに目がぎらぎらと血走っていた。
鼻息すら荒い。
「告白、されたのは……虎杖を匿ってた時で……」
「ふんふん」
「任務で……その、気絶して戻ってきた時に……その、えっと……ちょっと、色々あって……虎杖の所に行ったら、告白、された……」
あの時、野薔薇たちが去った後に五条悟がやってきて、首元に着いた鬱血痕を見て、消毒がどうのこうのとかわけわからんこと言い出して、それが怖かったというかなんというか。
怖い、というか、悲しかったのか。
とにかく全部が痛くて、虎杖に慰めてもらおうと思って……。
そんなふうに虎杖を利用したんだ、私は。