第19章 旅行
露天風呂に入るのに、私の心の準備がまた必要となったのだが、問答無用で禪院真希に全てを剥ぎ取られたのは言うまでもない。
最初こそ恥ずかしかったけど、堂々と入る二人を見ていたら、恥ずかしがっている自分が馬鹿らしく思えて、思い切り全てを曝け出し、湯船に浸かった。
頭を洗って、身体を洗って。
再び湯船の中へ。
ぐっと腕と脚を伸ばして息を吐けば、今日一日の疲れが取れるようなそんな気がした。
露天風呂から見える箱根の夜空は星がキラキラと輝いていて、それだけで気持ちがいい。
ふぅ、と息を吐いて肩まで浸かれば、野薔薇がずいっと私に近づいてきた。
「なに……?」
「あんたさ、虎杖の事どう思ってるの?」
「は?」
急に何を言い出すんだ、こいつ。
「なに、急に……」
「いいから応えなさい。どう思ってるの?」
「なんで急に虎杖が出てくんだよ、意味わかんねえ」
「とぼけんじゃないわよ。いいから応えなさいよ」
いや、本当になんで今虎杖の名前が出て来るんだよ。
そういう話してなくないか?
「恋バナだよ、。こ・い・バ・ナ」
少し離れた場所にいた全員真希が、口元を釣りあげて笑っていた。