第19章 旅行
食事が終わり、各々お茶を飲んだり談笑したりしていた時。
虎杖が何かを思い出したように声を上げた。
皆の視線が虎杖に集中するが、それを気にせず男はカバンの側に置いてあった袋を手にして戻ってくる。
「はい、誕プレ!!」
「え、マジで買ってきてくれたの?」
「当たり前だろ。買うって約束したじゃんか」
今朝のロマンスカーでの発言は冗談かと思っていた。
虎杖から袋を受け取ると、「開けてみて」と笑顔で言うものだから、私は袋から中身を取り出した。
「だっさ!!」
「そんなこと言うなよな、釘崎。に似合うと思って買ってきたんだからさ~」
「お前、マジでこれ似合うと思って買ってきたのか?」
野薔薇と伏黒の言葉に虎杖は怒られた犬のようにしょんぼりとした。
虎杖が買ってきた誕プレはTシャツ。
「箱根」と書かれた文字が温泉に浸かっているデザイン。
センスがいいと思ったが、他の皆には不評の様だった。
「私は好きだよ、このデザイン。なんか、概念を感じる」
「概念を感じるって何?」
「さあ」
「あはははははは!!やっばいねそのデザイン!!どこで売ってたの⁉」
腹を抱えて笑い転げる五条悟。
お前はそういう反応すると思ってた。
「駅前のお土産屋」
「外国人が買いそうなデザインだな」
「あ~わかる」
「しゃけ!!」
パンダの言葉に禪院真希と狗巻棘が頷いた。
ボロクソに言われたTシャツを私は大事に抱きしめる。
「これ、大事にするわ。部屋着として」
「おう!!」
しょんぼり犬は、私の一言で機嫌を取り戻した。
パタパタと振る尻尾が見える。