第19章 旅行
僕は公園の外に出て、お土産の定番である食べ物や飲み物を買って再び彼女のいる場所へと戻った。
「なにそれ」みたいな顔をしていたから「夕食のあとのおつまみ」と答えた。
「で、なんで泣いてたの?」
「………」
「アイツらの言葉に傷付いちゃった?」
買ってきたポカリをに渡すと、すぐにプルタブを空けごくごくと喉を鳴らし勢いよく飲んでいく。
僕の声を無視して。
「一体いつになったら、傷ついたお前の心は癒えるんだろうね」
「……」
「悠仁たちと一緒にいれば癒えるかなと思ったけど。痛みはまだ残ってるみたいだね。苦労も報われていないみたいだし」
できれば、君を変えることができるのは僕でありたかったけど。
それは難しそうだし、青春を謳歌している君の姿も見ていたと思うから、彼らに託した。
呪術師最強だなんて言われているけど。
僕は好きな女一人笑顔にする事すらできないんだ。
俳優や映画スターやスーパーヒーローではないから、そんなことはできない。
最強だと言うのに嫌になるね。
「……それは、お前にも言えることじゃん」
僕の痛みなんてものは大したことない。
虫に刺されたくらいのものだ。
「僕はいいんだよ。大人だから。でも君は違う。まだ子供だ」
くしゃり、と髪の毛を撫でた。