第19章 旅行
スマホをしまってに向き直ると、3人は僕をすごい訝し気な目で見ていた。
ああ、スマホ持ってないって嘘ついたの忘れてた。
まあいいか、どうでもいいし。
「行こうか」
彼女の右手を握ると、その手は随分と冷えていて氷の様だった。
だけど、少しずつ熱を取り戻す体温を感じホッと胸をなでおろす。
「ちょ、ちょっと待てよ‼あんた、そいつがどんな奴か知ってて一緒にいるのか?」
店を出ようとしたら、男が引き留めてきた。
どんな奴か知ってるかって?
知っていると言えば知っているし、知らないと言えば知らない。
だけどこれだけは言える。
オマエらなんかよりは僕の方がの事を理解している。
「……君は、知ってるの?がどんな子か」
「お、おい。やめろよ……」
僕が怒っていることを瞬時に理解したは制止してきた。
こんなところで騒ぎを大きくしたくないんだろう。
僕だってしたくないよ、せっかくの旅行なのに。
でも、あっちが突っかかってくるからさぁ、仕方なくない?
って思うけど、がそう言うから大人しく身を引くよ。
そんな僕の思いを裏切り、男は更に引き下がってくる。