第19章 旅行
――五条悟side――
「郵送先のご住所にお間違えは無いでしょうか」
「うん、そこで平気。無理言って悪いね」
「いえ……」
一人食べ歩きツアーをしながらの誕プレを探していた僕は、たまたま見つけたガラス細工店に足を運んだ。
立ち並ぶ食器やアクセサリー等は日の光に当たりキラキラと輝いている。
誕プレとしてはアクセサリーは無難だろうけど、教師から生徒に渡すもんじゃなくないか。
なんて思っていたけど、オーダーメイドもできるらしく話だけでも聞こうと店長を呼んだ。
そしたら好きな色を選んで混ぜたりすることもできるらしく、要望があればデザインも承ってるという。
即決。
ネックレスという選択肢もあったのに、僕はなぜかピアスを選択していた。
僕のモノである、という証をもしかしたら残したかったのかもしれない。
は物でもなんでもないのに。
の誕生石であるカイヤナイトとクリスタル、そして僕の誕生石であるラピスラズリを混ぜてもらうように頼んだ。
僕って意外と女々しいところがあったんだと思いながら、少しだけ浮足立ってしまうのは、彼女の喜んだ顔が見たいからだろう。
店長から注文書の控えを受け取り、店を出ようとした時。
店の入り口近くに、見覚えのある後ろ姿を発見。
「?」
声を掛ければ、ゆっくりと振り向く彼女。
脅えたような怒ったような悲しそうな苦しそうな、そんな負の感情を全て集約したかのようなその表情に、僕は一瞬眉を潜めた。
だけど、できるだけ明るい声で、いつもと変わらない僕を演じた。