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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第19章 旅行








ベンチに腰掛け、ちょっと待つように五条悟に言われた私は、大人しくアイツが戻ってくるのを待った。
しばらくすれば、その手には飲み物や出店で買ったであろう食い物がたくさんあって、これから夕食だというのに、今食べる気なのかと思っていたら、「夕食のあとのおつまみ」と答えた。
どっちでも一緒だわ。
よく食べるな、コイツ。
そんでもってなんで太らねえんだよ、ムカつく。

「で、なんで泣いてたの?」
「………」
「アイツらの言葉に傷付いちゃった?」

五条悟からポカリを受け取りプルタブを空ける。
一口飲めば、喉が渇いていたのかごくごくと勢いよく降下していく。

「一体いつになったら、傷ついたお前の心は癒えるんだろうね」
「……」
「悠仁たちと一緒にいれば癒えるかなと思ったけど。痛みはまだ残ってるみたいだね。苦労も報われていないみたいだし」
「……それは、お前にも言えることじゃん」
「僕はいいんだよ。大人だから。でも君は違う。まだ子供だ」

くしゃり、と髪の毛を撫でられた。

「誰にも理解できないなら、僕が理解してあげる。お前の痛みも苦しみも、深い傷も」
「………」
「だから、甘えていいんだよ。甘えて甘えて、強くなればいいんだから」
「まともなこというお前って気持ち悪いな」
「そんなこと言っていいのか?この甘味、あげないぞ」

ちらちらと見せつける様に、五条悟はわらび餅を口の中に入れた。
飯の後に食うって言ってなかったか?

なんて思っていたら私の口の前にそれがやってきた。
粉まみれになる唇。
ゆっくりと開けば、わらび餅が中に入ってきた。
こしあんが口全体に広がって、おいしかった。

その後、私と五条悟はなぜか一緒に手を繋いで食べ歩きをした。
一つの物を一緒に食べたり、景色を眺めたりして。
まるで、これはデートみたいだと。
そう思って。

悲しくなった。





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