第18章 術式
「あれは、お兄ちゃんがまだ生きてた時に送ってきたもので……」
うそ、だろ……。
思わず天を仰いでしまった。
「傑ぅ……オマエ……」
思わず零れた言葉は、親友である男の名を噤んでいた。
どでかいため息と一緒に漏れる本心。
オマエの趣味を妹にぶつけてんじゃねえよ。
最高かよ、グッジョブだ傑。
お義兄さんって呼んでもいい?
にやける顔を見られないように、ぐっと表情筋を固める。
そしたらなんか怒ってるみたいな顔になったけど、これ違うから。
心と体が今別居してるだけだから。
「僕も大概だとは思ったけど、アイツも大概だね」
「似た者同士じゃん」
「……はぁ。とりあえずこれとこれ着て。だいぶマシだから」
「マシとか言うな」
声も少し怒っている感じになったけど、違うから。
本当は今すぐにもの服脱がして下着姿にして押し倒したけど、そんなことしたらヤバいから我慢してるだけだから。
そしたら声帯が凝り固まって低い声になっただけだから。
もう一回言うけど、心と体が今別居してるの。
ちゃんと連動していないだけで、本心はめちゃくちゃ興奮してます。
選んだ服に腕を通した彼女を見送り、僕はこっそり勃ちあがった悟くんを処理しに男性職員用トイレへと向かい、脳内に住んでいるの声をオカズに気持ちよく欲を吐き出した。