第18章 術式
彼女も久しぶりの勝負に心躍っているのか、やる気は十分のよう。
と、その時。
のカバンの中からスマホの音が聴こえた。
僕との時間を邪魔してくる人誰~?
「電話出てもいいか?」
「どうぞ」
電話の相手を気にして、集中が切れても困るし。
僕に背を向けスマホを耳に当てる。
気持ちが全部電話の向こうの奴に向いているのが分かる。
気配を消し足音一つ立てずに彼女に近づいて電話の内容を聞く。
電話の相手は野薔薇か。
明日旅行に行くのか。
その為のお買い物ねぇ。
いいなぁ、僕も旅行に行きたい。
一方的に電話を切られカバンの中にスマホを投げ捨てたは振り返ると同時に大きく身体が揺れた。
後ろに僕がいることを今の今まで気が付かなかったのか。
まだまだだね。
常に周りを意識しなくちゃ。
でも、今はそんな事より。
「明日、野薔薇と旅行に行くの?」
「禪院真希も一緒だけど……なんで?」
「ふーん……」
3人で旅行かぁ。
「僕もついて行こうかなぁ」
「言うと思った!!ついてくんな!!」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」
「私のHPが減るわ」
「じゃあさ、勝負に僕が勝ったらついて行く。負けたらついて行かないってのはどう?」
「…………それは、」
「勝てばいいんだよ、僕に」
にやりと笑えば、は奥歯を噛みしめた。
100%僕が勝つのは目に見えている勝負を持ちかけるあたり、僕っていい性格してるよね。