第18章 術式
僕を殺すことを生きる糧にして、僕を殺すためのあの瞳が僕だけに向けられるのを僕は気に入っていたんだ。
だけどこの気持ちをに悟られてはいけない。
それはの生きるための糧を殺すことになるから。
例え彼女が僕に好意を寄せていたとしても、僕はそれすらも気づいていないふりをしなくてはいけないし、彼女自身にそれを悟られてもいけない。
彼女は僕を殺さなければいけないんだから。
僕を殺せない、と言っていたけどなにがなんでも殺してもらうよ。
もし僕を殺せないことがあったら、その時は僕がを殺す。
好きだからこそ、を殺すなら僕がいい。
他の誰にも譲る気はない。
そう言う意味でも僕の命を終わらせてくれる奴がいるなら、それはがいい。
それも誰にも譲る気はない。
拗らせてるな。
っ、て僕の脳内に住んでいる硝子が悪態をついた。
脳内硝子を頭の隅に追いやり、僕は目の前のにフォーカスを当てた。
「久しぶりに勝負しようか。今までお互い忙しくてできなかったし」
「この勝負はまじで久し振りじゃねえか?」
「そう言えばそうだね」
体術での勝負は確かに久しぶりだ。
僕も馨も忙しくてなかなか勝負なんてできなかった。
できたとしてもじゃんけんやカードゲームなど、数分で決着がつくものばかり。