第18章 術式
下を向いて俯く。
できるという自信がないのか、彼女はぎゅっと手を握っている。
ゆっくりとに近づき、座っている彼女と目線を合わせるために僕もしゃがみ、言葉を投げる。
「そしたら、は僕を殺すことができる」
勢いよく顔をあげるは、僕の顔を見て唇を噛んで悲しそうな表情をしている。
「……どうしてそんな悲しそうな顔するの?僕を殺せるんだよ?」
「そう、だけど……。そんな嬉しそうな、顔、されたら……」
「殺しづらい?」
「………」
沈黙のあと、静かに首を縦に振った。
僕を殺すために今まで努力してきただろ。
それを僕の笑顔ひとつで揺らいじゃうなんて、どこまでも優しくて気持ち悪いね。
そういうところが好きなんだけれど、いつかその優しさがオマエの命を奪いそうで怖くなるよ。
傑みたいに。
昔の事を思い出して、喉奥で笑うと眉間に皺を寄せたままのが僕を睨んだ。
「やっぱりは優しいね。傑にそっくりだ」
「……」
「安心して。そう簡単に殺されたりしないから」
「………私は強くなりたい。お前を殺したいってのも……ある。けど、今は……そう、じゃなくて……。お前の隣に並べる位、強くなりたい、んだ」
たどたどしいの本心に、僕の胸の内が大きく跳ねた。
僕の隣に立ちたい、だなんて。
そんなことが言うとは思わなかった。