第18章 術式
融凝呪術。
の術式は文字通り物質の形を変える。
物質の流れをこじ開けたり流したり、弾け飛ばしたり。
その術式効果は対象物によってさまざま。
物質の変化と今言った事を理解し尚且つ。
「呪力をコントロールすれば、の術式は空気を失くす事もできる」
それほどまでの威力のある術式なんだ。
呪力の温度を自在に操り、呪圧を加えることができればの話しだけど。
再度言うけど、彼女は無意識でやってきていたんだ。
できないわけがない。
僕の言葉にハッと顔をあげる。
似たようなことを葵にでも言われたのか。
はっとしたのも束の間。
彼女の表情は曇ってしまった。
「それは……無理だろ」
「今は、ね」
今は、できないだろうね。
そんな簡単にできるなら、今頃できてるはずだから。
「それこそ圧力だよ。山に登るとポテチの袋が膨らむ原理と一緒。の呪力で空気を重くしたり軽くしたりできるし、なんなら絶対真空だって作りだすことができる」
絶対真空なんて作りだせたら、それこそ最強だ。
そこまでいくのには相当な努力が必要だと思う。
でも、強くなりたいと願うならそれ相応の努力は必須だ。
あとはの心次第なんだけど。
「ができないって思ってるのは、それこそ自分の術式や呪力を理解していないからだよ。いや、自分の力を信じられていないだけ。これは恵にも言える事だけど、自分が強くなる姿が想像できていない。自己評価が低いせいかな。言っておくけど、もしが呪力を思うようにコントロールしてすべての物質を操れるようになったら、僕と同等、それ以上の術師になれるよ」