第18章 術式
「野薔薇が見繕ってくれるっていってるから来なくていい」
「じゃあ安心できる。ちゃんと可愛くしてもらうんだよ。とりあえず、高専に戻って服着替えなくちゃね。僕が見立ててあげる」
「いらん」
「いや、させて。ダサい恰好で外を歩かせたくない」
ここぞとばかりにダサいダサい言いやがって。
言いたいだけじゃねえのか。
くそ。
野薔薇のファッションセンス、盗んでやる。
高専に戻り、クローゼットやタンスの中身を見た五条悟は、落胆しているように見えた。
どうせセンスのある服持ってねえよ。
なんて悪態を心の中で呟いた。
「なんで下着はあんなえっちなのに服はこんなにダメなのかね。普通は逆じゃない?」
服を物色しながら男はぶつぶつと文句を言っている。
何度も私の下着を見ているとは言え、今言わなくてもよくないか。
デリカシーなさすぎ。
「あれは、お兄ちゃんがまだ生きてた時に送ってきたもので……」
私の言葉に五条悟は天を仰いだ。
そして何やら「傑ぅ……オマエ……」と大きなため息を吐いて兄の名を呼んだ。
「僕も大概だとは思ったけど、アイツも大概だね」
「似た者同士じゃん」
「……はぁ。とりあえずこれとこれ着て。だいぶマシだから」
「マシとか言うな」
五条悟が選んでくれた服を腕に抱え、私は男を部屋から追い出す。
何度も裸見てるんだからいいじゃんとか抜かしてたけど、そう言う問題じゃない。