第18章 術式
「ができないって思ってるのは、それこそ自分の術式や呪力を理解していないからだよ。いや、自分の力を信じられていないだけ。これは恵にも言える事だけど、自分が強くなる姿が想像できていない。自己評価が低いせいかな。言っておくけど、もしが呪力を思うようにコントロールしてすべての物質を操れるようになったら、僕と同等、それ以上の術師になれるよ」
そんなこと言われたって。
想像できるわけないだろ。
オマエより強くなった私の姿なんて。
自然と顔が下を向いてしまった。
そんな私に五条悟はゆっくりと近づいてくる。
「そしたら、は僕を殺すことができる」
ばっと顔をあげた。
五条悟は嬉しそうな顔をしていて。
なんで、そんな顔するんだよ。
まるで私の手で殺されることを望んでいるような、そんな表情。
確かに殺したいけど。
でも、でも……。
「……どうしてそんな悲しそうな顔するの?僕を殺せるんだよ?」
「そう、だけど……。そんな嬉しそうな、顔、されたら……」
「殺しづらい?」
「………」
小さく静かに頷いた。
そしたら五条悟は喉奥で笑った。
「やっぱりは優しいね。傑にそっくりだ」
「……」
「安心して。そう簡単に殺されたりしないから」
「………私は強くなりたい。お前を殺したいってのも……ある。けど、今は……そう、じゃなくて……。お前の隣に並べる位、強くなりたい、んだ」
「そっか。……嬉しい事言ってくれるね」
お兄ちゃんがこいつの隣に立っていたように。
私もこいつの隣に立ちたい。
お兄ちゃんが見ていた景色を、私も見たい。
それで、独りぼっちで寂しんぼのこいつが、もう二度と寂しい思いをしないように。
だから私は、強く、なりたい。