第18章 術式
なんて感傷に浸ってしまった。
今はそんなことを考えている場合じゃないだろ。
「私の術式は"融凝呪術"って術式で、鍵から呪力を流し込んでる。野薔薇の術式と似たような感じ」
野薔薇の芻霊呪法も金槌を使って五寸釘を飛ばし、刺さった釘から呪力を流し込んでいる。
言葉だけ聞けば、私と野薔薇の術式はすごい似てる。
けど決定的に違うのは。
「物質の状態を変化させる術式、って言えばいいのかな」
「うん、それで間違いないだろうね」
術式を理解していない、という意味が未だに分からない私は自分の言った自分の術式をもう一度考え直す。
私が頭を悩ませている中、五条悟が口を開いた。
サングラスの奥の瞳が私をじっと見つめている。
「初めて僕と勝負した時、僕の言った事覚えてる?」
「……確か、変わった術式だねって」
「うわ。よく覚えてたね、そんな昔の事」
「聞いといて引くなや」
忘れるわけないだろ。
オマエを殺すために高専に言ったんだから。
そしたら返り討ちにあったあげくに変わってるなんて言われたら、嫌でも記憶に残るわ。
「最初術式自体が変わってるのかと思ったけど、実は君の呪力が変わっているんだな、これが」
「私の呪力が……?」
「生まれつきのものだからね。無意識なのは仕方がない」
「一人で納得してんなよ。どういうことだよ」
当の本人である私を置いて一人で勝手に進めないでほしい。
私は何もわかってないんだよ。