第18章 術式
――夏油side――
交流会が終わった数日後。
私は、五条家に来ていた。
いつものあのセーフハウスではなく、まじもんの五条悟の家。
でかい日本家屋が私の目に飛び込んできて、声を失ったのは数分前のことだ。
結界が張ってあるため安心安全のセキュリティらしく、霊長類最強である吉田沙保里選手が突進してきても壊れないと五条悟は言った。
そこでふと思った疑問を口に出した。
「吉田沙保里選手とオマエだったらどっちが勝つ?」
「呪術なし?」
「なし」
「……うーん。……僕、かな。ギリギリ」
「ふーん」
「ねえ、なにこの問答」
呪術なしとはいえ、あの五条悟が即答できないとは。
流石霊長類最強と謂われているだけあるな、吉田沙保里選手。
なぜ、私が五条家にいるのかというと。
私の術式をちゃんと私がちゃんと理解するための稽古をつけてもらうためである。
五条家には稽古場があるらしく、昔は伏黒も稽古をつけてもらっていたらしい。
「とりあえずがどこまで理解しているか聞かせて」
「どこまでって言われても、なぁ……」
稽古場に着いた私達は、向かい合わせになった。
そう言えば、こんな風に五条悟と対峙するのは久しぶりだ。
私もこいつも任務やらなんやらで忙しくて、ここ最近勝負をしていなかった。
今日も勝負ではないけれど。
こうして手合わせすることが懐かしく感じてしまうほど、数か月前まではよく勝負をしていたのか。