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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第16章 野球








「本当に禪院真希のことが嫌いだったら、オマエは呪術師になってねえと思うんだよな。双子とかそんなん抜きに。好きだから、その背中追いかけて今まで頑張ってきたんじゃねえの。私もそうだから、分かるよ。オマエは口先だけだよ。口先だけで本心ではアイツのことちゃんと好きだよ。それもあいつはわかってる。わかってるから、あいつも頑張れてんだよ」

その顔はとても穏やかで、優しくて、母親のような聖母のような表情だった。

「無理に素直になる必要なんてねえと思うけどな。急に素直になられても気持ち悪くてゲロ吐きそうだし。皮肉上等だろ。それがオマエの愛情表現ってことで」
「……まともなこと言っている夏油って不気味。何か企んでんじゃないの。ドッキリ?隠しカメラあるんだったら今すぐ出しなさい」
「オマエな~……、素直に感動したって言えよな」
「あら、無理に素直になる必要ないんでしょ」
「ああ言えばこういうな。腹立ってきた」
「ふふっ。私の皮肉なんて滅多に聞けないんだから、しっかりと受け取りなさい」
「……はは、そうだな。しっかり受け取っておくよ」

二人でクスクスと笑って、随分前に冷めてしまったコーヒーを口にする。
香りのいい甘味のあるコーヒーはすぐに空っぽになってしまった。

帰り際、私は夏油と連絡先を交換した。
まさか彼女と連絡先を交換する仲にまで発展するとは思わなかったけど、悪くないわね。

真っ赤に染まる空を背に、満たされる気持ちを抱いたままみんなのいる京都へと戻った。




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