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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第16章 野球







テーブルから身を乗り出し、夏油は私の涙を拭う。
その仕草が、昔の真希にそっくりで。
それだけで我慢しきれなかったものが洪水を起こす。

「……私もさぁ、オマエの気持ち、分かんだよ」

震える夏油の声。
私の涙にもらい泣きすんじゃないわよ。
こっちまでまた泣けてくるじゃない。

「私もさぁ、ずっと待ってたんだ。お兄ちゃんが帰ってくるの。だって、お兄ちゃんそう言ったんだもん。全部終わったら戻ってくるって。私が殺すから、絶対死なないでねって言ったのに。うんって言ったのに。お兄ちゃん帰って来ないし、死んじゃったし。約束、破るくらいなら、最初から約束なんてすんなよな……」

ぐすぐすと泣きながら、物騒なことを言う夏油。
でもそれが夏油にとっては生きるための糧だったのね。

破るくらいなら最初から約束をしないで欲しい……か。
確かにそうね。
約束は、守るためにあるんだから。
最初から無理な約束は結んじゃいけないわよね。

昔、禪院家の人間が「双子は凶兆」だと言っていたのを聞いてしまった。
その時は、その意味がよく分からなかった。
今はなんとなくわかる。

なんで呪術師にとって双子が凶兆なのか。

いつか、その時が来ると思うのよね。
呪術師やってればそういう時がいつきてもおかしくない。
でも今はまだ、妹でいさせて。
真希の双子の妹として。
今だけはそれを許してほしい。

もし、その時が来たら――――――……。





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