第16章 野球
ピザを食いながら話題になるのは、虎杖と東堂のこと。
いつの間にあんなに仲良くなったのか、野薔薇には疑問らしかった。
が、正直私も疑問である。
いつの間に、というか、側にいたはずの私でさえ見過ごすレベルの速さで仲良くなっていたのだから。
当の本人である虎杖は、眉間に皺を寄せ頭を悩ませていた。
「仲良くなったっつーか……。記憶はあんだけど、あの時は俺が俺じゃなかったというか……。なぁ」
「なぁってなに。私に振るな」
「何アンタ。酔ってたの?」
「釘崎は俺があの状況で酒を飲みかねないと思ってるの?」
「まず未成年の飲酒は法律で禁止されてっからな」
最期の一切れに手を伸ばしたら、虎杖の手とぶつかった。
二人で目を合わせる。
「……お前、何切れ食った?」
「……3」
「私は2だ」
「でも遠慮すんなって言ったのじゃん」
「言ったけど、私が買ったピザだぞ」
お互いに引き下がる事はせずにバチバチと火花を散らす。
「めんどくさ。食い意地張ってんじゃないわよ」
「そういう野薔薇は何切れ食ったんだよ」
「私だってそんなに食べてないわよ」
「いいから答えろよ、釘崎」
「4よ」
「「オマエが一番食ってんじゃん!!」」
何がそんなに食べてないだ。
どの口が言ってんだ、馬鹿やろう。