第16章 野球
次の日のお昼過ぎ。
私と虎杖、野薔薇の三人は医務室を訪れていた。
見舞いと言う名の昼食を取るために。
医務室の扉を開けばベッドに座って本を読んでいる伏黒がこちらへと視線を向けた。
思ったより元気そうじゃん。
「ピザ持ってきた」
「なんで?」
「見舞いにはピザって決まってんだよ」
近くの椅子を引っ張り出し伏黒を囲むように座り、ピザを開ける。
チーズ増し増し、トマトソース増し増しにトッピングしたそれはめちゃくちゃおいしそう。
一切れ掴み、私は口の中に運ぶ。
「うまっ」
「いや、ベッドの上で食うな」
「テーブルがねえんだから仕方ねえだろ。私の奢りだ。遠慮しねえで食え」
「………」
ジト目で見られたけど一体何が不満なんだ。
野薔薇と虎杖なんて私が奢るって言ったら、すごいきらきらした目をして喜んでいたのに。
今も見てみろ。
両手に花じゃなくて両手にピザだぞ。
遠慮の「え」の字もない。
深いため息を吐いた伏黒はやっとこさピザに手を伸ばし食べ始めた。
うん、飯を食う元気もあるみたいだ。
良かった。