第16章 野球
「私のこと心配してくれたかと思ったのに、仕事増やすなとか言いやがるし。まじで家入硝子のそういうところ嫌い。ムカつく。五条悟は、全部がムカつく。なんでもできる癖に何もしないのがムカつく。ムカつくムカつく。どうせ比べてんだろ。虎杖と私のこと。虎杖の方が才能あるとか思ってんだろ。優秀とか言って、今回のことで見切り付けたろ、私のこと。ムカつく。………でも、一番ムカつくのは。こんな風にみんなのこと思ってる自分にムカつく」
私の中にあったドロドロを全部こいつらに見せた。
そしたら二人は満足そうに笑っていて。
「は~、良かった良かった。このまま闇堕ちすんじゃないかってひやひやした」
「兄妹揃って呪詛師になったらある意味、相伝じゃね?」
「相伝呪詛師って?」
「「あははははは!!」」
笑えねえ冗談をぶちかます五条悟に、若干引いていたら家入硝子と二人して爆笑しやがった。
笑う所か、コレ。
こいつらのツボが全然わかんないんだけど、私。
「ま。冗談はさて置いて」
「笑えねえ冗談を言うんじゃねえよ。殺すぞ」
「いつものが戻ってきた。一安心一安心」
「じゃあ、私そろそろ戻るわ。後はよろしくね五条」
「はいはーい」
そう言って家入硝子は、部屋を出ていく。
私の部屋には五条悟と私の二人だけ。
なんでこいつがここに残ったのだろう。
一安心というのなら、早くお前も部屋から出ていけ。