第15章 交流
東堂の術式の発動条件は"手を叩く"こと。
手を叩けば、虎杖と東堂が、東堂と私、と。
代わる代わるに入れ替わる。
これは、確かに厄介だ……。
コイツが味方で心底安心した。
しかも、私と虎杖と東堂はそれぞれ体格差がある。
入れ替わりの差異も大きいだろう。
入れ替わりも誰と入れ替わるかがわからない中での戦闘で思考も鈍るはず。
これはなかなかに本当に厄介な術式だ。
自然と笑みがこぼれる。
真正面に対峙していた私だったけど、東堂が手を叩き後ろへと入れ替わる。
虎杖と東堂の拳を正面で私の蹴りを背後からくらった特級はこの時初めて口から血を吐いた。
抜け出すことのできない東堂の術式。
そして私の術式。
特級の腕に鍵を差し込む。
二人のおかげで硬いこいつの身体にも鍵を差し込むことができる。
「"施錠"!!」
神経信号を止めれば、特級の腕はブランと垂れ下がる。
その隙に虎杖は連続で"黒閃"を決める。
一回、二回、三回……。
3連ちゃん……。
こいつ今、ゾーンに入っているのか。
「(調子に、乗るなっ)」
特級を挟んで、虎杖と東堂がいる。
私は距離を取った場所で、タイミングを見計らい鍵を撃ち込む算段。
さんざん手を叩いて入れ替わりを繰りかえしていた。
特級と言えど、手を叩く=入れ替わる、という式が出来上がったのだろう。
だが。
「手を叩いたって術式を発動するとは限らない。単純だけどひっかかるよな」
特級相手にここまでやり合えるとは。
私達がここまで戦えているのは東堂のおかげだ。
東堂の術式に翻弄された特級は、虎杖渾身の"黒閃"をもろにくらって大きくよろめいた。