第15章 交流
「俺からオマエらに言えることはただ1つ!!」
鋭い眼光がきらりと光った。
「止まるな!!俺を信じろ!!」
「「オッケー2つね(だな)!!」」
1つが2つになったところで何も変わらない。
私は目の前の特級をもう一度見る。
覆われていた左腕は今解き放たれている。
左腕を解放したことによって、どんな術式がくるかはわからない。
が、やるべきことは変わらない。
術式を発動させる前に祓えばいいだけのこと。
二人が走り出す。
どんな術式が来ようと私が食い止める。
と思った時、東堂の足が木の根にからめとられていた。
何してんの、この人!!
あんだけかっこつけてたくせに!!
前後左右に振り回され、投げ飛ばされる東堂。
その先にはハリネズミの針のような枝たちが東堂を貫こうと鎮座していた。
「東堂!!」
鍵を差し込んで術式を発動させようと投げる態勢に入ったら、乾いた音が耳に響いた。
と同時に、木の枝に突き刺さったのは東堂ではなく、特級だった。
一体目の前で何が起きたと言うのか。
虎杖と交戦していた特級がいた場所には、東堂がいて。
「……入れ替わった?」
「(成程。シンプル。故に厄介な術式)」
「そう。俺の術式は相手と自分の位置を入れ替える、"不義遊戯"」
「東堂!!」
「しっ。相手が慣れる前に仕留めるぞ」
何かを言いかけた虎杖だったが、東堂は自分の口に人差し指を当てて何も言うなというジェスチャーをした。
無いかブラフがあると言うのだろうか。
考えても意味がないな。