第15章 交流
凄まじい集中力を発揮する虎杖。
その口から溢れた唾液が顎を伝って水面に落ちた。
瞬間。
虎杖の呪力が黒く光り、特級の右腕をへし折った。
打撃一つでここまでの威力……。
「成ったな」
意味は理解していたけど、実際に目の前にして見ると想像以上んい驚異的な現象だ。
虎杖自身も驚いた様な表情で自分の掌を見ている。
その様子を見た東堂は拍手を送った。
東堂は言った。
前までの虎杖は口に入れたことのない食材をなんとなく鍋に入れて煮込んでいるような状態だった。
それが"黒閃"を経て呪力という食材の"味"を理解した今、呪術師として3秒前の自分とは別次元に立っている、と。
「コングラチュレーション、ブラザー。オマエは、強くなれる」
「……フレンドからブラザー。昇格、おめでとう」
もう、何も気にしないようにしようと思った。
出ないと全部に突っ込んでしまいそうになるから。
虎杖の打撃を受けた特級だったが、さすが呪霊と言うべきか。
へし折られた右腕はすぐさま治っていく。
私達人間のように高度な反転術式は必要ないから、あのくらいの怪我は何ともないのだろう。
「でもまぁ、確実に呪力は削れるし、急所を潰せばそれで終わりだ」
「さぁ、調理を始めようか」
虎杖が強くなった今、私達3人の共同戦が始まる。
虎杖に負けたくない、私も強くなりたい、私だって強くなれるなら……。
追い付きたいから、追い越したいから。
アイツの隣に並んでも恥ずかしくない人間になりたいから。