第15章 交流
左頬を真っ赤に染める虎杖に東堂は口を開いた。
「"怒り"は術師にとって重要なトリガーだ。相手を怒らせてしまったばかりに格下に後れを取ることもある。逆もまた然り。"怒り"で呪力を乱し、実力を発揮できず負けることもな」
虎杖が怒りで呪力を乱すのは仕方がない。
伏黒を傷つけられた上に、吉野は死んだのだ。
あんなに親しく交流をして笑い合っていたのに。
一度は敵になったけど、和解し高専で新しい学校生活を送って友人として楽しく過ごせると思った矢先に、唐突かつ救いのない無意味で無惨な姿となった吉野。
殺す以外に救いがなかったから殺した。
家族諸共呪霊たちの策謀の犠牲になり、嘲笑われながら死ぬという悲惨な末路は、夜蛾が言っていた言葉を嫌と言うほど、この身をもって思い知った。
【呪術師に悔いのない死などない】
その一言に尽きた。
どこまで言っても呪いは呪いでしかないと言う事も。
だから、虎杖が怒りに陥るのもよく理解できる。
私も、そうだから。
「伏黒を傷つけられ……そして何より親友である俺との蜜月に水を差され……オマエが怒髪衝天に陥ってしまうのはよぉーく理解できる。だがその怒り、オマエには余る。"今は"収めろ」
そう言って東堂は再び虎杖の頬を平手打ちした。
2~3個所ツッコミたいところがあるけど、何も言わない。
面倒なことになりそうだから。