第15章 交流
私と東堂がそんな話をしている間に、虎杖は特級の前へと歩を進めた。
特級が話せると知った虎杖は、静かにそいつに話しかける。
「オマエの仲間に、ツギハギ面の人型呪霊はいるか?」
瞳孔は開き、怒りに染まる虎杖。
私は眉間に皺を寄せた。
どんなに普段通りに過ごそうとしたって、根幹となる怒りは消える訳が無い。
忘れられるはずがないのだ。
虎杖の中には吉野がずっといる。
「(……いる、と言ったら?)」
音では何言っているのかわからないのに、意味は理解できる。
気持ちが悪い……。
虎杖は特級の言葉を聞くや否や、水底を殴りつけ水しぶきで自分の身体を隠した。
軽率に距離を詰めない当たり、まだ冷静さを欠いていないように見えるけど。
虎杖自身の驚異的な身体能力で一気に特級との間合いを詰め、三段蹴りを放つ。
虎杖の攻撃により胴体がガラ空きになった特級へ、虎杖は拳を握りしめる。
決めるつもりだ、"黒閃"を。
しかし、それは空ぶりをしたうえ、"黒閃"は出なかった。
反撃をくらう前に距離を取る虎杖に、いつの間にか隣から姿を消した東堂が虎杖の頬を平手打ちした。