第15章 交流
伏黒は奥歯を噛みしめ。
「次死んだら殺す!!」
「死体蹴りはやめて差し上げろ、と言いたいところだけど、リクエストにはちゃんと応えろよ」
「ああ。死ぬワケにはいかねーな、こりゃ」
肩をぐるりと回す虎杖。
パンダは伏黒と禪院真希を抱えて、この場を去った。
私が攻撃をしようとしたら、東堂が私の腕を掴んだ。
驚いて顔をあげると。
「俺達は手を出さんぞ」
「は?」
「虎杖、オマエが"黒閃"をキメるまでな!!」
川の中にいた私を引きずって離れた場所で見守る東堂。
いや、なんで?
疑問しか浮かんでこないんだけど。
「"黒閃"をキメられず、オマエがどんな目に遭おうと俺はオマエを見殺しにする!!」
「マイフレンドなんじゃないのかよ」
「押忍!!」
「お前も返事すんなよ」
なんだよこのギャグみてえなやり取り。
私だけがついて行けてないんだけど。
「夏油。悪いがお前も手を出すな。これは虎杖のためだ」
「どういうことだ……」
「虎杖は今成長途中。いわば少年が大人の階段を上っているようなものだ」
「うん、例えがわかりずらい」
二人でドンパチしてた頃、何がどうなってそうなったのかわからないけど、随分と虎杖のことを気にいった東堂は「より強くなるための指南」を分かりやすく理論的に伝え、尚且つ具体的な戦闘方法を懇切丁寧に伝授した結果、短時間で虎杖は急成長したと、東堂の話しを聞いて理解した。
「"黒閃"もその一つってわけか」
「Exactly。より高みへ、アイツを導く」
「……わかった。但し、アイツを見殺しにする気はない。その時になったら私は、遠慮なく容赦なく手を出す」
「ふっ。流石はマイフレンドが選んだ女だけはある。いいだろう。お前の実力も知りたいと思っていたところだ」
……マイフレンドが選んだ女ってなに。
虎杖、オマエ。
東堂に私の事なんて言ったんだよ。
色々問い詰めたいことは山ほどある。
が、それは後だ。
今は、虎杖と特級の戦いを見守るだけだ。