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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第15章 交流







だってこの状況に覚えがあるから。
私はまた、逃げるのか。
あの時のように。
見殺しに……。

「ああ!!クソが!!!!」

特級相手に勝てる訳が無いんだよ。
だってこいつはアイツよりも何倍も強いんだから。
でも、逃げたら私は何も変わっていない。
何も変わらなかった、何もしなかった。
その結果が虎杖の死だった。
だったら、やるべきことはもう、決まってる。

「……逃げて、たまるかっ!!」

震える手足に、気合を入れて。
私は鍵を再び握った。

「高菜、こんぶ」
「え、でも……」
「明太子。しゃけ」

鍵を握りしめた私に狗巻棘はこの状況を他の奴らに伝える様にと言ってきた。
その間、あの特級は自分が引き付けるからと。
確かにこいつの呪言があれば動きを止める事など造作もないだろう。
ただ、狗巻棘自身が心配だ。
呪詛返しがないとは断言できない。

「しゃけ!!」
「……っ、わかった!!死ぬんじゃねえぞ!」

うだうだ悩んでるヒマなんてなかった。
一刻も早くこの異常事態を伝えなければ。
虎杖に、伏黒に、野薔薇に、みんなに。
五条悟に――――――。

走り出した私を追いかけようとする特級に、うしろから「"動くな"」と狗巻棘の呪言葉が聞こえた。
時間を稼いでくれているんだ。
ぐっと唇を噛みしめる。
逃げないと決めたのに。
私は今こうして逃げている。
狗巻棘に助けられた。
それが、こんなにも悔しい。




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