第15章 交流
制服に付いた砂ぼこりを払い、私は手にしているスマホをじっと見る。
これ、使えんじゃね?
「狗巻棘。お前の呪言って、電波越しでも有効か?」
「しゃけ」
「オッケー。じゃあ、手当たり次第電話かけるから、出た奴に呪言かけろ」
私はスマホの電源を入れる。
画面には"パスコード入力"と出た。
チッ、パスコード設定してやがるのか。しかも6ケタ。
知るかよ、そんなもん。
と、思っていると狗巻棘が私の肩を叩いた。
「ツナツナ」
狗巻棘は私が地面に投げ捨てた腕を指さす。
あー、指紋認証か。
やってみるか。
私達の会話を聞いていた玉犬が、地面に投げ捨てられた腕を加えて軽い足取りで戻ってくる。
一言だけ言わせてほしい。
絵面がやばい。
玉犬から腕を渡された狗巻棘は、優しい手つきで玉犬を撫でる。
目を細め嬉しそうに尻尾を振る玉犬。
もう一回言ってもいいか。
絵面がやばい。
私は狗巻棘から腕をもらい、パスコードを解除。
そして電話帳を開き、京都校の奴らの名前を探す。
"加茂憲紀"
"東堂葵"
"禪院真依"
"西宮桃"
"新田新"
"三輪霞"
上から順に電話を掛けるが、誰も出やしない。
最期の一人、三輪霞の名前をタップする。
これで全員出なかったら、無駄に時間を割いたことになる。
戦力を潰すはずが私達が潰されるとか、自滅じゃねえか。