第15章 交流
こんな短時間で特級呪霊が高専関係者と遭遇しているのは、向こうが高専関係者と繋がりを持っているからだ。
でなければあまりにも偶然が過ぎる。
「京都側の調査を歌姫に頼みたい」
東京はこの僕が調査するから問題はないとして。
京都側の調査を歌姫に頼んだのには理由がある。
「……。私が内通者だったらどうすんの?」
「ないない歌姫弱いし。そんな度胸もないでしょ」
事実を述べただけなのに、歌姫はキレて僕に湯呑を投げてきた。
馬鹿だねぇ。
湯呑を投げたところで僕に当たるわけないのに。
「怖っ!!ヒスはモテないよ?」
「私の!!方が!!先輩なんだよ‼」
えー……。
先輩とか関係なくない?
弱肉強食の世界なんだから強い方が上じゃない?
でも、実際歌姫が弱いかどうかはどうでもよくて。
歌姫が呪詛師と繋がっている可能性は低い。
歌姫がそういうことをする奴ではないと言い切れる自信がある。
昔から知っている仲だし、無駄に正義感が強く仲間思いだから、裏切るような真似はしない。
「五条」
「ん~?」
投げた湯呑の後始末をしている歌姫が、お茶を啜っている僕の名前を呼んだ。
「……一番内通者として疑うべき人物がいるけど、どうなの?」
「…………それはのことを言ってんの?」
「そうよ……。夏油傑の件もあるし、あんたを殺そうとしてるんでしょ。だったら……」
確かに一番に疑われるのはだろう。
呪詛師や呪霊と繋がり、僕を殺すための準備や算段をしていると考える方が自然だし、辻褄が合う。
だけど。