第15章 交流
「で、どうするよ。団体戦形式は予想通りとしてメンバーが増えちまった。作戦変更か?時間ねぇぞ」
畳の上に座る禪院真希の言う通り、作戦を変更するなら早く話し合った方がいい。
時計を見れば試合開始時間まで1時間もない。
「こいつが死んでる間何してたかは知りませんが、東京校・京都校全員"呪力なし"で闘り合ったら、虎杖が勝ちます」
そう言い切る伏黒。
二級術師で以前東堂をやり合っているこいつが言うんだ。
2年全員、その言葉に信憑性を持つだろう。
「東堂は確実に直で私達を潰しにくる。真依も私狙いで便乗してくるかもな」
「東堂が化け物だってことは前のあれで分かってる。全員で相手して全滅するのは目に見えてる。だから足止めとして"一人だけ"パンダか伏黒を置いていくって作戦だったけど。虎杖。オマエが適任だと私は思ってる」
「がそこまで言うなんて珍しいじゃねえか」
にやりと笑う禪院真希。
虎杖の実力は私がよく知ってる。
ずっと地下室で一緒に修行していたんだから。
それに今の虎杖は前の虎杖とは違う。
だろ、虎杖。
「勝たなくていい。できるだけ時間を稼げ。それだけでいい」
虎杖の肩を掴んでその瞳を見つめる。
少し動揺をしていたけど、虎杖は一度だけ頷いて。
「やるからには。俺、勝つよ」
真剣なその声に。
真っすぐなその瞳に。
誰も何も言わなかった。
言わなかったけど同じ気持ちを抱いたに違いない。
東堂と対等なのは虎杖しかいない、と。