第15章 交流
「狗巻棘は呪言師なんだよ。言霊の増幅・強制の術式だから、安全を考慮して語彙絞ってんだと」
「"死ね"っつったら相手死ぬってこと?最強じゃん」
「そんな便利なもんじゃねえよ」
私の言葉にパンダが代わりに説明してくれた。
「実力差のケースバイケースだけどな。強い言葉を使えばデカい反動がくるし最悪自分に返ってくる。語彙絞るのは棘自身を守るためでもあんのさ」
「ふーん。で、先輩は何で喋れんの?合成獣?」
「やめろ。それは私のトラウマだ」
頭に浮かぶのは錬金術で錬成された少女と犬のアレだ。
号泣して虎杖にドン引きされたことは今でも忘れない。
「他人の術式をペラペラと……」
「いいんだよ。棘のはそういう次元じゃねーから」
「確かに。逆に狗巻棘の術式は開示することで威力が増すだろうしな」
「んなことより、悠仁」
禪院真希はゆっくりと虎杖に近づき手を差し出した。
挨拶でもするのだろうかと思ったが予想が外れた。
どうやら屠坐魔を返せとのことらしい。
ぴしりと石のように固まる虎杖。
忘れていた。
屠坐魔はあの時ぶっ壊したというかぶっ壊されたというか……。
「五条先生ガ……持ッテルヨ……」
「………」
「チッ。あのバカ目隠し」
親指を立てる虎杖の顔は険しい。
こいつ、五条悟に全部押しつけやがった。