第15章 交流
「アンタさぁ、馬鹿だね」
「馬鹿じゃないし。頭いいから」
「勉強の方じゃないわよ。そう言うところが本当に馬鹿。まぁ、あんたの過去考えれば仕方ないのかもしれないけど。言っとくけど私、友達と思ってない奴と一緒に買い物行ったりご飯食べたり遊んだりしないから」
「……」
「伏黒もそうなんじゃない。あんたの事友達と思ってるから、勉強教えたり教えられたりするんでしょ。虎杖は……誰とでも仲良くできる奴だと思うけど」
「………そっか」
「そうよ」
チョコレートマロンフラッペを飲む釘崎は、当たり前でしょ、みたいな口調で言うもんだから、すごく嬉しかった。
初めて、友達って言ってもらえた。
こいつらが私と一緒にいるのは同情からくるものなのかなとか色々考えていたし、私だけが友達だって思っていたとしてもそれはそれでいいかなとかそんな風に思っていた。
でも、釘崎は私のことを友達だって言ってくれた。
それが、たったそれだけのことが嬉しくてこそばゆい。
「だから、私は夏油の事を名前で呼びたいし、私のことを名前で呼んでほしいと思ってるわけ」
「勝手に呼べばいいだろ。許可取る必要ある?」
「いきなり呼ぶのはハードル高いのよ。今更感あるし。許可取れば低くなるでしょうが」
「そういうもん?」
「そういうもんよ。だから、私は今日からあんたのこと名前で呼ぶから」
にっと白い歯を見せる釘崎。
その唇にはチョコレートが付いている。
かっこいいと思ったのに、台無しだよ。
「釘崎、口にチョコ付いている」
「釘崎?」
「……野薔薇、口にチョコ付いてる……」
「ふふっ」
満足そうに笑う釘崎……野薔薇はナプキンで口元を拭いた。