第15章 交流
「ていうかさ夏油。思った事言っていい?」
「なに?」
買い物を終えた私と釘崎は今、スタバで休憩している。
スタバのコーヒーを飲みながら、買った買い物袋の数を数えた。
釘崎5つ。私8つ。
あれ、私の方が多く物買ってる。
まぁそのうちの6つは釘崎が見繕ってくれたものだから、実質私が選んで買ったのは2つだ。
だけど、久しぶりに買い物をしたな。
ここ最近任務続きだったし、怪我して外出れなかったし、たまにこうして散財するのも悪くない。
ちょうど給料が入って財布の中身はホクホクだったから、紐も緩んでしまうよね。
心の中で独り言をつぶやく私の耳に、釘崎の声が届く。
「名字呼びってなんか距離感じない?」
「え?」
「夏油と釘崎よ。半年経ったら普通は名前呼びしない?」
「え、知らんけど。私小中って友達いなかったし」
「あー、っぽい。そんな感じする」
「……人から言われるとムカつくな」
友達いないのは事実だから否定はしないけど、ムカつくのなんでだろ。
テーブルに肘をついてコーヒーカップに口をつける。
行儀が悪いとわかってても、この体制って楽なんだよね。
「じゃあ、私とアンタは友達だから名前で呼び合いましょ」
「友達……か」
「そうよ。友達よ。親友でもいいけど」
「私だけかと思ってた」
「なにが?」
「お前らのこと、友達って思ってるの」
そう、口にすれば。
釘崎は呆れたようにデカイため息を吐いた。