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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第14章 明日







生理的な涙がこぼれ、重なっていたそれも離れた。
銀色の糸が二人を繋いで、切れる。
寂しいと、切ないと、私の心が呟いた。

息の上がる私を見て満足気な顔の五条悟。
自分の顔に熱が集中したのがわかって思わず枕を投げつけた。
ごまかすために袖で濡れた唇を拭いたが、たぶん五条悟には全部バレていると思う。

「続きは、怪我が治ってからね」
「続きとかねえし!!帰れっ!!」
「あはは、元気になってよかった」

こいつの掌で踊らされているのは今に始まった事ではないけど。
こんなにも簡単に踊らされるのは気分がいいものではない。
だからと言って、反撃する算段は何一つないけれど。

「交流会までに怪我が治るといいね」
「治すだろ。家入硝子なんだし」
「へぇ」
「何だよ」
「なにも」

くすりと笑う五条悟。
今度こそ部屋を出て行こうと立ち上がった。
その背中に。
私はもう一度声をかける。

「お前がもし、泣きたくなったら私のところに来いよ」

思い出すのは、寝ながら涙を流す五条悟の姿。
誰にも知られずに一人で静かに泣くこいつの姿が、ずっと忘れられずにいた。
子供の弱さを受け止めるのが大人の務めなら、大人の弱さを受け止めるのも子供の務め。
私の弱音を抱きしめてくれたのなら、お前の弱音は私が抱きしめてやる。
そう言うものだろう。

「その時は私の服、べちゃべちゃに汚していいからな」

白い歯を見せて笑えば、五条悟は一瞬驚いた顔をした後。

「いいね、それ」

照れくさそうに、笑みを零した。





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