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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第14章 明日







私に泣く資格などない。
自分のエゴで殺しておいて、弔うための涙など流せるわけがないんだ。

「本当、昔の僕を見ているみたい。ムカつくね」
「は?」
「何でもないよ。……はさ、泣けないんじゃなくて、泣きたくないだけだろ。泣く資格はない。つらかったのも泣きたかったのも、自分じゃないから泣いても意味がない。そう思ってるでしょ」

全て見透かされている。
だけど、驚きはしなかった。

「健気で奇特だね。でもが泣こうが泣くまいが、起こった事実は変わらない。それは悠仁にも言える事だけどね。だったら、何も変わらないんだったら、パーっと思い切り泣いてすっきりすればいいんじゃないの?」

場違いともいえるほどの明るい声。
あっけらかんとしたその陽気な声に、私の中の腸が煮えくり返るのがわかった。
それを知ってか知らずか、男はずっと言葉の暴力で私の心を抉り続ける。

「美化した思い出をさ、綺麗なものは綺麗なままそれを糧に前に進んだら?そっちの方が今よりよっぽど生涯性があると思わない?」

もう我慢の限界だった。
私は左手を強く握り、大きく振りかぶって男を殴ろうとした。
けど、左手は宙に浮いたまましばらく停止し、ゆっくりとベッドの上へと落ちた。

「……殴んないの?」
「お前、わざと私を怒らせて殴らせようとしてるだろ。そんな手に乗るかよ」
「やっぱりは頭がいいね」

そう言うと、五条悟はギプスで覆われている私の右手に触れた。
男の体温は感じないけど、触れられているという感触はちゃんとある。





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