第14章 明日
「私、人を殺したよ。今度はちゃんと。この手で。それが救いになると思ったから。でも、それが本当に正しかったなんて言えなくて。今なら、ちょっとだけお前の気持ちが、わかるような、気がする。だから、たぶん、私はお前を、憎めないし、殺せない……気がする。」
殺さずに生かす方法はなかったのだろうか。
その方法があればすぐにでも手を伸ばす。
だけど、どこにもないから。
最善の策を取ったけど。
これを正しいだなんて、言ってほしくない。
「」
私の隣に腰を掛けた五条悟。
その声はどこまでも優しい。
「つらい時はつらいって言っていいんだよ」
七海も似たようなことを言っていた。
なんでそんなことを言うのだろう。
「……なんで、そんな事言うんだよ。お前は、……お前も言ったりすんのかよ」
「僕は……最強だからね」
「じゃあ私も言わない。お前にこれ以上弱みを見せたくないし、何より。私だってお前みたいに強くなりたい」
「そっかぁ……」
弱音を吐いたら自分の弱さを認めるようで嫌だ。
それに。
五条悟だって何も言わないんだ。
弱音も泣きごとも。
それを犠牲にして今の強さがあるなら。
私だって自分の感情くらい犠牲にしてやる。