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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第14章 明日








「私は一度呪術師をやめました。他人のために命を投げ出す覚悟を、時に仲間に強要しなければいけない。……逃げたんです。夏油さんの事もあって。だから、私は彼を責める気にはなれない。下手したら私もそうなっていたかもしれませんから」
「…………それを私に言ってどうしたいんだ。許されたいのか」
「どうでしょう……。もしかしたら、そうなのかもしれない」
「許すも何も。お前は何も悪い事してないだろ。謝られても困るし、それはお兄ちゃんの墓の前で言え」
「残念ながら、私はあの人の墓の場所を知りません」
「奇遇だな、私もだ。あいつだけじゃねえの、お兄ちゃんの墓の場所知ってんの」

くすくすと笑った。

たった一人の親友の亡骸は。
自分だけが知っていればいいとでも思っているのだろうか。
ばぁか。
全部一人で抱え込むところ、本当に嫌いだ。
大嫌いだ。

頭に浮かぶあのくそ憎たらしい男の姿。
私の脳内に現れる男に悪態をついた。
そんなことをしているとは知らない七海は、私の額に半分剥がれかけた冷えピタを、新しいものと変えてくれた。

「……私は、貴女の味方でも敵でもありませんが。何かあったら弱音くらい吐いてください」
「また子供扱いか?」
「はい。事実、貴女はまだ子供ですので。泣きたいときは泣けばいいでしょう」

そう言って七海は私の体を静かにベットに寝かせると医務室を出て行った。
想像以上に紳士的なその仕草に目を丸くしたが、しばらくすれば比べる人間を間違えた。
五条悟を基準にしてはいけない。

視界に映る真っ白い天井。
頭の中で七海の言葉がずっとリフレインしている。
泣きたいときに泣けばいいって、なんでそんな事言ったんだろう。
私は別に泣きたい気分でもなんでもないのに。

意味がわからなかったし、これ以上考えたら熱がまた上がると思い、考えることを放棄した。
そして静かに瞼を閉じて、眠りへとついた。




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