第14章 明日
「じゃあ、また」
「おう……」
手を振って虎杖と別れる。
「返事、もう少し待ってもらってもいい?」
「……おう」
「ごめんな」
小さく謝罪をすれば、優しく抱きしめられた。
「待ってる」
「うん……」
それだけ言って、ゆっくりと身体を離す。
虎杖を傷つけたくないと言いながら傷つけてるあたり矛盾している。
だけどこればかりは、すぐに返事ができない。
のは、私の中で揺れ動いている証拠だ。
二人の男に。
一人は、私をわかってくれる人。
曇りない笑顔を向けて、私を私らしくいさせてくれる人。
それに心救われる。
傷つけたくない。
この人を好きになれたらどれだけいいだろう。
一人は、ずっとわからない人。
だからこそ知りたいと思う、わかりたいと思う。
見透かされて、時間を忘れて、なんでも話せて。
どうしようもない感情に、もどかしい気持ちに、心がぐちゃぐちゃになって。
この人の事を私はたぶんきっと好きなんだと思いしらされる。
私が選ぶ人はたぶんその人。
だけど、決断できないのは―――。
私が弱いからなんだろう。