第14章 明日
「……虎杖、だめだ。これ以上は……」
「……………なんで?」
「なんでもくそもねえ。調子に乗るな。……オマエのこと、嫌いになりたくない」
「………………っ」
今にも泣きだしそうな顔で、虎杖は静かに私の上から身を引いた。
「ごめん……。嫌がってたのに……無理やり……」
「いいよ、別にもう」
「よくねぇ……。ッ……ごめん、自分勝手で……どうか、してた」
「いいって、まじで」
「ごめん、。怖い思い、させて。俺、馬鹿で……」
「もう謝んなって。怒ってねえから」
「……嫌いに、なんないで………」
今にも消えてしまいそうな程小さな声。
下を向いて、震える大型犬は悪い事をしたと自覚し反省をしている。
反省をしているなら怒る必要はない。
「嫌いになんないよ。だから、虎杖。こっちに来いよ」
両手を広げて、虎杖を呼ぶ。
顔をあげる虎杖の頬には涙の跡があって。
「抱きしめろ」
「……っ、……」
私の胸に飛び込み、背中に腕を回す。
リズムよく聞こえる二人の心臓の音が、ただただ居心地よかった。
「、好き……大好きッ……」
ぐすぐすと泣いて涙を零す虎杖の頭を優しく撫でる。
私の事を好きだと言ってくれるその気持ちはすごく嬉しい。
正直、結構、割と、だいぶ。