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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第14章 明日







遺体安置所には4つの遺体が並んでいた。
と言っても黒い袋に入れられているため、遺体の状態はわからないが。

七海は気を利かせたのか、私達二人だけにしてくれた。
沈黙が続く中、虎杖は小さく声を漏らした。

「順平の母ちゃん、死んだんだ」
「…………そう、なのか」
「人の心に、呪われたって、順平が言ってた」

淡々と話す虎杖の声は覇気がない。
当り前か。
あんなに仲良くしていたのだから。
友達、だったんだから。

「だから、誘ったんだ。高専に来いって。そしたら五条先生や釘崎がいて伏黒がいて、夏油もいて。楽しい学校生活を送れるし、協力すれば順平の母ちゃんを呪ったやつも見つかるからって。報いを受けさせてやるからって。そう、言ったんだ。でも、死んだ。あの野郎が……」

ぎりっと奥歯を噛みしめる虎杖。
そんなことがあったなんて知らなかった。
何も言えずに、ただ遺体を見つめる。
あのどれかに吉野の遺体がある。
私は止めを刺した吉野の遺体が。

「ごめん」

自然と、そう、口が動いていた。

「吉野を殺して、ごめん」
「……夏油が悪いわけじゃないだろ。夏油は、間違った事、してないだろ」
「それでも。お前が助けたかった人間を殺したことに、変わりないから」
「…………」

否定も肯定も、虎杖はしなかった。

「でもさ。これだけはわかってほしい」
「なに……?」
「殺したくて、殺したわけじゃない……」
「……うん」
「戻ろう。ここは、冷えるから」

踵を返して、安置所を出ようとした私の左腕を。
虎杖は強く掴みそして引き寄せた。
音を立てて地面に落ちる松葉づえ。
右腕は私の体と虎杖の体の間に挟まっている。
つまり、私は今虎杖に抱きしめられている。
小さな声で「」と私の名前を呼んで。




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