第14章 明日
――夏油side――
目が覚めると、そこは医務室だった。
真っ白い天井を視界に映し、左手を上へと持ち上げる。
グーパーと指を何度か折り曲げては開くをくり返す。
そうしてやっと自分が生きていると言うことを実感した。
体を起こそうとした時、腹が痛んだ。
服をめくると、貫かれた傷跡が小さく残っている。
「起きたか、夏油」
医務室に家入硝子が入ってきた。
どうやら私の腹の傷は、このまま残るそうだ。
右腕の骨はくっついたが、完治するのに何度か治療を受けなければいけないらしい。
ギプスがしてあるのはそういうことらしい。
太腿は傷一つ残ってはいないけど、痛みはまだあるからこっちもしばらくは治療を受けなければいけないと言われた。
「虎杖と七海は?」
自分の体の事を一通り聞いた私は、今この場所にいない二人の事を家入に聞いた。
「まずは自分の事を心配しろ。お前が一番重症だったんだから」
「いいから、あいつらは?」
「無事だよ。虎杖も結構穴空いてたけど、お前程じゃない。タフだよ、アイツは。宿儺の器だからかな」
「どこにいるか知ってるか?」
無事だと言われても、この目で確かめたかった。
ちゃんと生きているってこの目で。
家入は「安静にしてほしいんだけどね」と小言を言いながらも、二人のいる場所を教えてくれた。
松葉杖を借りて私はその場所へと向かった。