第1章 復讐
一つ伸びをしてベッドから起き上がり、学校へ行く準備をする。
誰もいない家はとても静かで、ここだけ時間が止まったようだ。
朝食を食べている時だった、インターホンの音が響いた。
新聞の勧誘か何かだろうか。
なんて考えながら玄関へ行き扉を開け、目を見開いた。
「やぁ、久しぶりだね」
「お、兄ちゃん……」
兄の事を考えていた矢先に会うとは思っていなかったから、心の準備ができていない。
なんでとか、どうしてとか、頭に浮かんだけどそんなことはすぐに消え去った。
お兄ちゃんがいる、お兄ちゃんが戻ってきた。
それだけが頭の中を支配した。
お兄ちゃんは、黒衣の僧衣と五条袈裟を身につけていてお坊さんみたいだった。
お坊さんになったのかなとか考えたけど、非術師を殺した兄がお坊さんになるなんて考えられなかった。
趣味、なのかな。
そんな事を思いながら私は兄を家の中に入れて、飲み物を用意した。
久し振りに会う兄は随分と大人びていて、昔よりももっとカッコ良くなっていて、どう接したらいいんだろう、どうやって接していたっけ。
ドキドキと高鳴る心臓は会えた嬉しさからか、それとも緊張からか。