第13章 狂愛
「はい、これで大丈……ぶ」
釘崎が祓った事で今回の任務は終わりかのように思えた。
しかし、斎藤廉の後ろにはなぜか小林茜の呪霊が発生した。
「「「は?」」」
3人の声が綺麗にハモッた。
これは一体……。
祓ったはずの呪霊がまた発生するなんて……。
もう一度祓ってみたが、先ほどと同じことが繰り返されたため呪霊自体を祓っても意味がないと理解した。
「……これは、あれだな」
「原因は、掛軸にあんのかもな」
「でも呪力は感じられなかったわよ」
「そこなんだよなぁ」
とりあえず、呪われてはいるが今すぐ何かがあるとは思えない私たちは一度彼の家を出た。
少し離れた場所で待機をしていた伊地知さんの車に戻り、話し合いが始まる。
「俺はやっぱり"これ"だと思う」
「それしかないわよね。掛軸そのものを祓うってなったら、燃やす一択?」
「もう少し様子を見たいから、燃やすのは後からでもいいだろ」
そう言って、しばらく様子を見る事にした私達はその日はホテルに泊まった。
斎藤廉には何かあった場合電話をするようにと電話番号を書いた紙を渡してある。
電話は鳴っていないから大丈夫だろう。