第13章 狂愛
「あのさ、美術室で掛軸をみつけたんだよね」
「はい……。本当にたまたまだったんです。掛軸が落ちてたから美術部の子のモノだろうと思って、ラックに乗せようとしたら……」
「あの絵が描かれていた、と」
「怪我をするようになったのは掛軸を見つけてからか?」
「……時々、見るんです。茜の生首がドアの隙間や窓の隙間から覗いているのを。それに気を取られて階段から落ちたりしてて……」
ぶるぶると震える斎藤廉。
後ろにいる小林茜であろう呪霊はどこか嬉しそうに笑っている。
彼の脅える姿を見て、喜んでいるのだろうか。
(……ヨ。………キ)
なんて言っているのか分からないけど、何かをずっと呟いている。
その声が聞こえているのかは分からないが、斎藤廉は呪霊が何かを言うたびに辺りを見渡している。
というか、斎藤廉は小林茜の事を知っているような口ぶりだった。
親しい仲だったのだろうか。
そのことを聞くと、彼は小さく首を縦に振った。
「……いじめの相談を、受けてて……。解決策とか、全然思いつかないから、せめて話だけでもって……。自殺するとは思ってなかったし……掛軸を見つけたのだって偶然じゃないような気がして……」
「とりあえず、結論から言うけど。君、小林茜に呪われてるよ」
「えっ!?」
「今すぐ祓うからじっとしてて」
そう言うと、私より早く釘崎が呪霊に釘を刺していた。
行動早くないか。
呪力を釘に流し込めば、呪霊はすぐに消えた。
思ったより簡単だったな。
3人もいらねえじゃん。